どうか夢であってください

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「ねぇ、お母さん?これって……?」 「……な、何かしら。」 目の前には轟々と燃え盛る建物。否、"元"私の家である。そして私達は、野次馬の群集の中に立ち尽くして"元私の家だった建物"をポカンと口を開けて見ていた。あまりに突然過ぎて涙も出なかった。思い出も何もかもなくなってしまった。 「ごめんね!今日は真雪ちゃんの誕生日だから豪勢に天ぷらにしようと思って……。そしたらいきなりお鍋から火が出たからママ慌てちゃって……。」 「……お母さん、」 怒るに怒れなくなってしまった。お母さんがドジなのはいつもの事。例えば砂糖と塩を間違えるのはしょっちゅうだし、お風呂掃除の時酸性と塩基性の洗剤混ぜ合わせて病院に運ばれたりしたけどまさか此処までとは……。もう怒る気力も無かった私は諦め半分でお母さんに訪ねる。 「これからどうするの?」 するとお母さんは私から目線を外しながら、えへへっと悪戯をした子供が謝るような表情で、私にあまりに衝撃的で信じがたい話を振ってきた。 「ママね、実は真雪ちゃんにずっと内緒にしてたんだけどね、今お付き合いしてる男性が居てねー。真雪ちゃんが居るから遠慮してたんだけど……えへへ。」 へぇ~そうだったん、って……。なにそれぇぇぇえええ?!?!今初めて聞いたんだけどっ!?しかも遠慮してたんだけどって!!ちょ、えへへとかなんなのもう!お母さんってば……似合いすぎてて、諦めて許すしかないじゃんよもう……。
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