どうか夢であってください

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「こうなっちゃったらもう仕方ないよね!うん、ママちょっと交渉してくるわ!」 「えっ?!あっ、ちょっと!」 そう言うとお母さんは、私のバッグからケータイを取り出し、例のお付き合いしてるらしき男性へと電話をかけ始めた。この行動力の速さには驚きを通り越して感動を覚える。 「……あっ、もしもし!アツシさん?佐和子です、……ええ、今日から同居しても良いかしら?……本当?!嬉しいわ!……ちょっと待っててね、娘に代わるわ。」 私の服の袖を引っ張り、「代わってくれる?」とウィンクして合図して来た。……仕方ないか、私は手短に済まそうと電話を代わる。 「はい、お電話代わりました。娘の真雪です。」 「ああ、君が真雪さんですか!佐和子さんから落ち着いた良い子だと聞いていたのですが、とてもしっかりした人のようですね。」 アツシさんは柔らかな声と雰囲気の人で、良い人そうだなと電話口でだがそう感じた。 「佐和子さんとお付き合いさせて頂いていて、凄く楽しそうに真雪さんの話をするんですよ。だから一度話をしてみたいと思っていたので……とても光栄です。」 「母がそんな事を……、いえいえ!こちらこそ今回お邪魔してしまう事になってしま って……!」 私が慌てて今回の件についてお詫びをいれる。するとアツシさんは、ふふっと笑うとこう続ける。 「そんな事は無いさ!うちは、家族でも広すぎる位だし、家族が増えて僕も嬉しいですよ!」 さらにふふっと笑うアツシさん。つられて私も笑って居ると、袖をくいくい引っ張られ、お母さんが、「代わって!」と言う合図をしていた。
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