第一章

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佐藤先生は、年配のお世辞にも美人とまでは言えない容姿だったが、とてもあたたかく、とても多彩な人だった。 佐藤先生の通報により、両親は親権を放棄せざるおえなくなった。 その時佐藤先生は姉に 「辛かったね。よく負けないで頑張ってきたね。えらかったね。理沙ちゃんは強い子だね。」と泣きながら、姉を抱き締めてくれた。 佐藤先生は私達二人を引き取ろうとした。しかし、佐藤先生は初老であり、寝たきりの父の世話をしなくてはならなかった、それに金銭面でもきついというのが、正直なところだった。なので、私か姉かのどちらかしか引き取れないという返答だった。 佐藤先生は姉を引き取った。 理由は、ある程度の年齢になった子が新しい家庭に馴染むのにかかる時間と、当時二歳の私とでどちらの方が馴染みやすいかを考えた結果だった。 佐藤先生は私を引き取れなかった事を悔やんでくれていた。 そして私は、しばらくして里親に引き取られた。
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