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ここは戦場。
しかも最悪の類のだ。
俺たちの陣は切り崩され、足軽たちはどいつもこいつも我先にと逃げ出し、守ることすらままならない。
もうもうと上がる土煙の中で恐れと惑いが渦を巻き、皆狂ったように逃げ惑うだけだ。
もう、これは戦と呼べるものではなかった。
……相手が悪かった。
最初からわかっていた。
だが、それでも一族が戦うとなれば、戦うしかない。
「おい、サスケ!生きてるか?」
「なんとかね……。でも、たぶんこれが最後の命かな?」
「なにを戯言を。とりあえず、急いで本陣へ戻るぞっ!」
「辛いよねぇ……こういうの」
………………
俺だって、サスケと同じことを口に出したかった。
一族が戦うというだけで、俺の様な者でさえ戦わなければならないなど……内心馬鹿らしいとも思う。
だが、それで戦わねば義理が立たない。
それが恩義への報いというものだ。
俺には軍を預けられ、敵の雑兵部隊を食い止めるだけという楽な仕事を与えられた筈だった。
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