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だが、そいつらは雑兵にもかかわらず手強かった。
やはり、やつらはそのような末端までもが強いのかと感心すらしてしまいそうになる。
その感心の代償が、この有様。
「……うぅっ……」
肩に乗せたサスケの重みすら辛いと思うほどに、俺は疲れ果てて、足をもつれさせかけていた。
どこへ向かえばいいのかすらわからなくなりそうだが、それは余りにも皮肉な形でわかった。
切り倒された無数の亡骸たちが、その倒れ方で本陣がどっちかを教えてくれる。
その亡骸の数がどうしようもない負け戦だと告げているにもかかわらず、御当主さえ存命ならば再起はできると、俺は向かった。
「再起して、どうなるのだ?」
という惑いは押し殺して。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「あれは……」
「陣幕みたい……だね……」
俺は陣へと駆けた。
裂けた陣幕と飛び散った血が、既にそこが襲われたものだと教えている。
だが、それでも俺は一縷の望みをかけて向かった。
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