鍛冶の堅物男と珈琲メイド娘。

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鍛冶の堅物男と珈琲メイド娘。

 さあさあお立ち合い。  こっちは武器の旦那のテリトリーへと続く階段さ。  さあお上りよ。どーぞどーぞてってと駆け上がってくんなァ。  若いのに奴ぁ良いもん打ちやがるんだぜ。え、奥さん? いやいや、独身さ。いやぁに人嫌いでよぉあの人。  いや~なんつうか、ちぃっせえ頃に実の親に捨てられたらしくってさぁ。ああ。そうよそうよ! アイゼルの東んのサァ、すぐんとこ。あの流れのはぇぇサキ川に! 一人舟に乗せられて捨てられたってェ話だ!  嘘なもんか。あの目を見ろ、大人を今も恨んでる顔つきだろ? 男前だけどな。あんた、武器の旦那を怒らせちゃあいけねぇよ。あの人の打った刀ぁな、あれ人を喰うってよ。嘘じゃねえよ、おい聞いてくんなよ。血を吸うんだよ。アア、そう言や今日からだったな。あんたが武器の旦那の新しいメイドさんかい。へぇ~結構べっぴんじゃあねぇか、なあ。気を付けなよ。顔に油飛ばされねぇようにな! へへっ!  さあー着いた着いた。ここさ、えっ。そんなあんたヒラヒラ装備で大丈夫かい? 中にはよ、人間は一人だけさ。鍛冶を手伝うちっこい妖精とちっこいドワーフに、毒の粉を飲まされねぇよう頑張りな。奴ら、ちっこいくせに頭がよぉキレんだよ。生意気だしうるせえし、ああ。とにかくな、気ィを付けな! その可愛い顔が真っ青になんのも時間の問題だろうけどよ。  ア一つ嘘言ったなヒヒヒヒッ! ふた月ぐれえ前からこれまたちっこい人間の子供がよ、旦那に鍛冶を習いに来てやがんだ。黒いツヤツヤ髪の、草色のローブのガキだ。元気だし、まあ唯一まともな奴よ。ただ経験がねぇからなあ。頼りにはなんねえよ。まあ仲良くしてやってくれ!  幸運を祈るぜ、せめて1ヶ月。1ヶ月あんたが旦那の専属で居るのを耐えられるかが勝負だな。まあ無理だろうけどよ。なんつって。ハヒヒッ!  ア前のメイドの子ら? 知ってんだろ、みィーんな二日と持たずだ。もとんとこけえったよ! だから、三日越えりゃああんたの勝ちさ! なあんてなっ! ハハハッ! さあ入りな。武運を祈るぜお嬢さん!   覚悟しな。サラクレア・ジェノバールはよ、冷酷な男だぜ。おれなんかいっつも無視されんだよ! なあ。いやあの鍛冶見習いのガキぁよく耐えてっけどっさ。ん、あんたはおれに笑ってくれんだな。ありがとよ、おめぇさん名前は?
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