鍛冶の堅物男と珈琲メイド娘。

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「へへっ。良かった~。あかりさん、今日からお世話になりますっ。ししょー、あかりさんが煎れたコーヒーほんとに美味しいですよー」  タイムくんが師匠と呼ぶその方は、頷くだけで特に何も喋らず、腕を組んだ。ちらっと、私と少しだけ目が合う。綺麗な緑の瞳。 「しっ失礼しましたっ! 貴方がサラクレア・ジェノバール様!」ってーか! ひぇぇっ、やっぱりこっちが本物のっ! 鬼……には見えないけどでも、怒ると怖いのかな。 「あかりさんっ、そんなかしこまらなくても~っ。気軽にジェノバさん、で大丈夫ですよっ」 「あ、はい。えーと、ジェノバさん」  なんか、また何故かちょっとした間が空く。ジェノバさんは、あんまりこっちを見てくれない。本当に私、この人に指名されたのかな。 「あ、あの」 「足。立てるか」 「えっあっはいっ! 全然大丈夫ですっ」  私はジェノバさんが安心するように、ぴょんとベッドから降りてくるんと回ってみせた。わかりにくいけれど、彼は少しほっとした表情になる。すぐに、私からタイムくんに視線をずらして。 「良くここがわかったな」 「ししょーの匂いがしたのでーっす! ってああっ! どうして無視するんですかっ! 嘘ですよーっ! ドワーフ達が、ジェノバさんが入り口でぶつかった女の子抱えて出て行ったって言ってたからですーっ! 初っぱなから怪我させるなんて。流石鬼っ! よっ! 男だねっ」 「馬鹿。斬るぞ、タイム」 「あははーっ」  二人の漫才のようなやり取りを見て。私はくすくす笑ってしまった。それに気付いて二人ともじっとこっちを見てくる。
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