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「えっ」
「そっ、れっ! 何ですか!? その液体っ!」
私は背の高いジェノバさんの右手の、その謎の液体が入った小瓶を奪おうと彼の前に立って。貸して貸してと飛び跳ねた。私の突然の行動に驚いたジェノバさんは、少しよろめいて。
ぴょこぴょこしていた私は彼の足につまずき二人一緒に倒れてしまう。あーっ!
「きゃっ!」
「――あかりっ……!」
ドスンっと尻餅をついたけど、ジェノバさんが私の頭を抱えて支えてくれたお陰で、頭を床に打ち付けずにすんだ。
「す、すみませんっ」
顔にたっぷり、甘い香りのそのドロッとしたものがかかって。舐めるともっと甘く、喉がウァッとなった。
「これ、ガムシロップですか?」
「……誰にも言うなよ」
照れ、てる?
て、言うかこの体勢はっ……! 近、い。うぁ、顔――。彼の熱い息が、私の栗色のツインテールの片方にふっとかかった。肌、綺麗だなあ。ホントに29歳? 唇、ツヤツヤぷるぷる……。触れたい。
「どこ見てんだよ」
「ええっ!? ああっ!? すっすみまっせっ! 違っ!」
「はやく立て」
「は、いっ!」
っのーっ! ガムシロガムシロっ! もしかしてジェノバさんってめちゃ甘党? あっ――! そう言えば一週間前にタイムくんが帰る時にお作りしたコーヒーは、作業前だって言うからチョコチップを沢山入れたフラペチーノをプレゼントしたんだっけ。上にはクリームたっぷりと乗せて。珈琲もちゃんと入ってるけど、あれはチョコレートをベースにしたからかなり甘い仕上がり。
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