鍛冶の堅物男と珈琲メイド娘。

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 一体何だろう。 「ラキュリア先生にわざわざ作ってもらったから、とっても綺麗に出来てると思います。デザインしたのは、ジェノバ師匠なんですよ? 世界に一つだけ。特別な品です。あっ、このハンマーと剣の刺繍はぼくが入れろって、言ったんですよーっ! へへっ。あ、このバッジも! 盾のロゴ! カッコイー!」 「これ……なんですか?」 「開けてみて下さい」  デザイン、した? ジェノバさんが? わ、私の武器!? ではなさそうだけど。  作ったのはラキュリア先生って?  恐る恐るその袋のチャックをゆっくりと全て開け。中の布製のそれを取り出し、広げた。 「め、メイド服!?」  カジュアルでお洒落な、白と黒のメイド服がそこに現れた。綺麗なライン、袖先の膨らみ、黒い太いラインに、真っ白なふりふりエプロン、黒のプリーツスカートの下に履く伸縮性優れた素材のパンツ。これ――。 「まめ組のメイド服も似合ってるから、気に入らなかったら、まめ組のを着てて構わないけど。って、師匠言ってましたよ」  ……………………。 「あかりさん?」  ……………………。 「もしかして、気に入らなかったんですか?」 「タイムくん、私これ……貰って良いんですか?」 「当たり前じゃないですかー。あかりさんのスリーサイズに合わせてあるんですから。あかりさんしか着れないですしっ」 「ふ、太ったら終わりって事ですね」  ってか、スリーサイズなんていつ知ったのかな。 「まあ、ああ、そうですね」 「可愛い……し。カッコいい、です。スカートの下に履くズボン、嬉しいです」
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