鍛冶の堅物男と珈琲メイド娘。

29/61
前へ
/255ページ
次へ
「良く転んでストッキング毎日穴空けてるのを、気にしてるようでしたからね」 「え?」 「師匠。あかりさんの事、いつも心配してましたよ。火傷しないように、怪我しないように、丈夫な素材で作ったみたいです」  心配……。 「タイムくんっ。この黒いライン、めっちゃオシャレです! 剣とハンマーの刺繍も凄く素敵。ありがとう。ジェノバさんにお仕えしている証拠ですよね……」 「ええ。そうですよ」  ジェノバさん――。 「嬉しい……です、ほんとに。ジェノバさんのメイド服……一生大事にします」 「毎日洗濯出せるように、気に入ったら余分に作らせるからって言ってましたけど」 「らっラキュリア先生だって暇じゃないんですよ!? なんでジェノバさん、先生をこき使ってるんですか!?」 「しょうがないだろ他に頼める奴居なかったんだから。って言ってましたよ」 「いいっいくら親友のお母様だからって! ラキュリア様に私のメイド服なんかを頼むなんて~! ああ、もう今月と来月はスタンプ貰えない気がする」 「あははっ」 「笑い事じゃなーいっ!」 「どっかで着替えてから行きますか?」 「あ……」 「それ着て出勤したら。きっと師匠喜びますよっ」 「……うん」  ジェノバさん。  大好き。  私なんかの為に、こんな素敵な服を作って下さるなんて。    途中トイレで急いで着替えて。もっともっと早足で、鍛冶場へと向かった。  ジェノバさんが考えて下さった服、それを着たら。ジェノバさんに抱き止められてるようで。ドキドキ。
/255ページ

最初のコメントを投稿しよう!

42人が本棚に入れています
本棚に追加