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「は、い? し、ししょー。冗談きついっすよー」
「生き別れた妹がアイゼルに居るのはわかっていたんだが、どうも探し当てられなくて。てっきり城下で暮らしているんだと思ってたから」
灯台もと暗しだな、と。ジェノバさんは淡々と話を続ける。ティラキリーゼさんがジェノバさんの妹さんって……それ、どうして?
「そう言えば苗字、一緒ですね! アイゼルを拠点として商業を行っているサラクレアカンパニー社長のご令嬢が、ティラキリーゼ様。その兄って事はジェノバ師匠は本当は跡取りだったって事ですか? サラクレアを名乗る人は城下の貴族に割と多いので、ぼくはなんとも思わなかったですよ~。でもティラキリーゼ様と血が繋がっているってゆー証拠はあるんですか?」
「……アイゼルの貴族は、生まれた子供に母親の名前の刺青を入れるんだ」
ジェノバさんはスプーンを置いて立ち上がり、服を少し捲って、腰布を下げ。右の骨盤の部分に小さく書かれた刺青を見せてくれた。
古代の言葉で、『母 サラクレア・カリナ』と書いてある。名前の後には家紋も。ジェノバさんは、「ティラキにもこれと同じものがあった」と呟く。
「俺が七歳の時、人狩りってのが中央大陸全域で流行っていたんだけど」
人、狩り……?
服を直して席に座るジェノバさん。食事を続ける。
「子供を掻き集めて奴隷にする民族が居たんですよね確か。数年前までは勢力が強くて。アイゼルの城下の貴族すらさらわれた子供が居たって聞きますけど」
「タイムくん、やっぱり物知りですねー」
「あかりさん。新聞読んで下さいね。ちなみに奴隷制度をケテラス星全域で廃止と謳い貧困の人々をも救ったのは、初代ダブレスの方々ですよ。ね? 師匠っ」
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