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「でも、盾を作らなければ誰かが死ぬかも知れない。弓を作らなければ殺されるかも知れない。助けられる命を増やす為に、今は打つのを辞めずにいようと、思ってる。それが俺の天命だと――信じたい。この間、ティラキが城下の酒場で酔っぱらった奴に撃たれたんだけど。胸のポケットに、俺が作らされた婚約指輪が入ってて……。そこに銃弾がハマッて助かったんだけど、すげえ悪運だよな」
「えっ、えええっ!? っそれ普通死にますよっ!! って言うかジェノバさん、指輪まで作れるんですね?」
ゆっくりと話す口下手のジェノバさんの口から、驚愕の事実ばっかり飛び出すから。なんだか息切れして来ました。
「ん、ああ。素材は武器と大体一緒だからな。けどダイヤにヒビが入ったからもう一回作り直せとか言いやがって、アイツ。馬鹿者が」
「あははははっ! 師匠、それって妹だってわかる前の話ですか?」
「ああ。まぁティラキに突然死なれて化けてでられても困る。うざったい」
う、うざったい!?
「折角再会出来た妹さんなのに! 何をおっしゃってるんですかっ! ジェノバさんっ! あ、あんなに可愛くて綺麗な方っ」
「見た目だけはまぁ。つか、あいつ先月作ってやったばかりの鎌を先週ぱっくり折りやがって。全く夫婦揃って俺泣かせ過ぎるんだよ。無鉄砲と言うか無防備と言うか」
「二代目ダブレスの面々って、ほんとに仲良しなんですよー。あかりさん」
「へえ。一度話してみたいなあ、私も。ティラキリーゼさんの旦那様も、ダブレスなんですね?」
その時、コンコンッとジェノバさんの私室の扉をノックする音が聞こえた。
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