鍛冶の堅物男と珈琲メイド娘。

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「はぁーいっ。どうぞ」  私はすぐに扉を開けて、その人と目があった。なんとも可愛いくりくりの目。小さい色白の顔。先程と同じ格好の。 「あっ、こ、こんにちはっ。お兄ちゃんいますか? あ、お兄ちゃんじゃなくって、えーと、ジェノバ!」 「ティラキリーゼさん!」 「あ、あなた。あれだよね、えーとっ。お兄ちゃんの新しい専属メイドの。あかりちゃんだっけ? って、あたしのが年下なんだからちゃんはおかしいか~。へへ、ごめんなさい」 「い、いえっ! どうとでも呼んで下さいっ」 「ティラキ? どうした」 「ぁ、あの……お兄ちゃん」  ジェノバさんがこっちまで歩いて来て私の横に立つ。ティラキリーゼさんは扉に少し隠れて恥ずかしそうにジェノバさんを呼んだ。 「気持ち悪い。というか気味悪い。なんだその呼び方」 「なんだとーとはなんだー!? だってっ! だってぇっ!」 「今まで通り普通に呼べよ」 「やっやだっ、お兄ちゃんって呼びたいのっ! お兄ちゃんって呼ぶっ!」  むすっとした顔も滅茶苦茶可愛らしいです。ひょっと部屋の中に入って頂く。 「別に良いけど。どうした」 「あー、鎌~。持って来たから……直してくんないっかな~って」  ティラキリーゼさんが後ろに隠して持っているのは、なんとも見事にまっぷたつになった無惨な姿の大きな鎌が。あ、ああ……。  ジェノバさんは、溜め息をひとつ吐き、「タイム。直してやれ」そう言いました。  ――って! ええっ!? 「ええええー!? むっ!! 無理ですよっ! 鎌が一番難しいって師匠言ってたじゃあないですかっ! 作った事も無いのに直すなんて無理です無理ですーっ! 短剣だってまだマトモに作れないんですよっ!? ぼく!」  そ、そんなに自慢気に言わなくても。確かに鎌って、あの曲線を作るのがとても難しそう。
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