鍛冶の堅物男と珈琲メイド娘。

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 数秒見つめ合う。彼も、頷いてくれて。  ちょっとだけ、ジェノバさんに寄り掛かった。二人の前髪と前髪とが、少しだけ当たって。どきどきはもっと胸を締め付ける。  私を抱き締める彼の腕の力が、またほんの少しだけ強くなって。  頬と唇が、ジェノバさんの首筋に当たってしまった。 「ぁ、あの……」 「ん?」 「メイド服、ありがとうございました。こんなに素敵なものを頂けるなんて」 「ああ……。刺繍、ほんとにちゃんと入ってるな。流石」  剣の刺繍の部分を持ち、メイド服の出来栄えに関心するジェノバさん。  こんな幸せってあるんだ。 「ラキュリア先生にお礼しなくっちゃです」 「良いんだよ。あいつ服作るの好きなんだから」 「なんでダブレスの方々に対してジェノバさんは上から目線なのでしょうか……」 「馬鹿ばっかりだから」 「ふふふっ、へへっ」  あっ!  今一瞬だけだけど、ふっと笑ってくれた気がした。でもすぐに真顔に戻っちゃったけど。  好きな人の笑顔って、見るとこんなにも幸福になれるんだ。 「ティラキとタイムにも引越し手伝わせるぞ」  パッと私の身体から離れる。テーブルに用意したお茶を、立ったまま一口飲んだ。その背中がまた、愛おしい。 「えっ! 掃除した後にですか!? やっやっぱりー!」 「ん? なんだよ」 「ッジェノバさんは鬼でした!」 「オチみたいな発言すんな」 「ひえ~っ!」  大体後片付けが終わり。image=422968747.jpg
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