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「ここっコレ! ぼくがその内貰おうと思ってたのにぃぃ!」
「ああ、それか。もう寿命だったからな。新しいのを作ってあるから別に構わん」
「そっかっ。良かったーっ!」
「ぜぜっ全然良くないですよっ! ししょーっ!」
「あっ、ねぇねぇっお兄ちゃん! 捨てて良いもんと悪いもんがよくわかんないからさっ。来てよーっ。ほらほらっ。行こ行こっ」
「ししょおーっ! ティラキさんなんでも壊しますよーっ! ふいごにも穴開けて! あーあ、ハンマー欲しかったのにな」
「ふいごまで壊したのか。ハンマーくらい自分で作れば良いだろ」
バタバタと連れ去られてしまうジェノバさん。
私は、やっと誰も居なくなったその空間に安心し切り。しばらく顔が火照って片付け所じゃなくなっていた。
へたっとその場にしゃがみこみ、唇を両手で押さえる。
ジェノバさん。……私はこのまま喜んでしまって良いのですか?
ジェノバさんの私室ですべき事を終え。洗濯物をせっけん組へと運んだ私は、鍛冶場へほうきとチリトリを持って行った。
相変わらず重たい入り口の扉を、力いっぱい込めて開ける。むあっとした熱気が溢れてきて。鍛冶場の鉱石や鉄の焼ける匂いが鼻を一気に支配する。
「アカリぃーっ!」
「ア、カ、リっ!」
「アカリーっ!!」
「アカリー、ゴ、ハ、ンーっ」
「「ゴハンゴハンー!」」
「コンペイトウッ」
「ハチミツー」
「チョコー」
うわわっ! ひゃっ!
妖精さん達っ!
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