鍛冶の堅物男と珈琲メイド娘。

46/61
前へ
/255ページ
次へ
 ピューンと飛んできた何人もの小さい妖精さんに取り囲まれ。すり寄られ。朝のご挨拶をしました。素早く全員に、頬にキスをされ。私はほうきとチリトリを鍛冶場の入り口に置いた。  みなさん私の名前、覚えて下さったんだ~。嬉しいな。  妖精さんが舞うと花のような良い薫りがして。緑や青の魔法の屑がキラキラ光ります。  私がいつまでたっても妖精さんの言葉を理解しないから、タイムくんがきっと妖精さん達に私達人間の言語を教えて下さったのでしょう。 「はいはいっ。じゃあジェノバさんの私室に行きましょう。っドワーフさん達のご飯は妖精さん達のお食事が終わったら作りますねーっ!!」  私の呼び掛けに作業の手を止め振り返り、頷く七人のドワーフさん。もう鍛冶をはじめてらっしゃる。早いなぁ。  基本的に武器を作るのはジェノバさんとドワーフさんで。その武器のお手入れやヤスリがけ、細かいデザインを施したり、魔法でコーティングをしたりするのが妖精さん達のお仕事です。 「ム。アカリ、ム。ム。アカリ、ム」  私が再び扉を開け。妖精さん達を鍛冶場の外へ出していたら、一番若いたれ目のドワーフさんが私のスカートを引っ張った。ドワーフさん達はみんな紫のズボンを履いていて、緑色の帽子を被り、羊のような角、キツネのような尻尾に、腰には工具を入れるガチ袋。髪の色がみんな違って、まるで七色です。この子は、くるくる天然パーマの金髪。眼はグリーン。おっきなお鼻も、てふてふ歩く姿も全部可愛いです。  ドワーフさん達はみんな、ジェノバさんの真似ばかりしたがります。
/255ページ

最初のコメントを投稿しよう!

42人が本棚に入れています
本棚に追加