鍛冶の堅物男と珈琲メイド娘。

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 メイド達に、あらゆる教養を付けさせる為に、ラキュリア様が呼び戻したメイド隊のOGの集まり。金獅子組。オバサンばっかりですが……って、おっと。素晴らしい知識をお持ちの先生ばかりです。アイゼルで働くメイド達に色んな形式で授業を開いて下さいます。お米の研ぎ方からハンググライダーまで体験させられたりしますが。とても勉強になります。金獅子組の方達は皆さんスーツで出勤なさったり、私服だったり。元メイドさんってだけで。凄いレッテルなんですよ。  他にも色んなチームがありますが、そろそろ時間稼ぎはこの位にしないと。遅刻、です。ハア~、ちょっとってかかなり……憂鬱。緊張。手の汗が止まりません。うまくやれるのかなあ、専属メイドなんて、私には荷が重すぎます。  噂通りジェノバさんって、鬼のようにおっかない人なのかなあ。ずっとまめ組で地下と寮との行き来しかあまりしてこなかったから。私はアイゼルの事もダブレスの事も、実は良く知らないのです。歴史の授業で、戦争の時誰がどんな功績を残したとか、誰がどんな魔法を使えるかとか、どこ出身とか、それぞれの役割とか、それくらいなら解るのですが。私が直接お会いしたことのあるダブレスの方は、初代ダブレスのダークさんとフェートさん。後は二代目ダブレスである笹倉の次男さんと、メイラさん、リュウさんくらい、かな。あ、ラキュリア先生も一応初代ダブレスなんだった。女王様と王女様も、お見掛けしたこと位はあったな。あ、なんだ、意外と知ってる? の、かも? いやでも5年以上同じお城に居て、尽くすべきダブレスの面々を良く知らない私って……不真面目、かなあ。    うーうん、そろそろマジで入るぞ。うん。入るぞ。入らなきゃ。よーし。深呼吸してー。この重たそうな扉のノブを、掴み……。  って言うかホント、なんであたしなんだろ?  あたしなんて、まめ組だし。鍛冶師で専属を選ぶんなら、普通赤薔薇組から引き抜くんじゃないのかな? あたし武器の事なんてほとんどわかんないし。ぜんっぜん、ホンットに授業でもいっつも訳わかんないし。刀だってまともに抜けないのに。斧だってちょっとも持ち上げられなくて、非力過ぎて他のメイドの子達に超爆笑されたし。良いのかな。私で。  きっと全く役に立たないと思う――。  このケテラス星一の鍛冶師と言われている人のメイドに、あたしなんて――。  なんで、選ばれたんだろう。
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