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“サラクレア・ジェノバール。29歳。さそり座。幼少期からアイゼル近くの港町で鍛冶をやっている。鬼のような男。”――とか別にどうでも良いし。私のお仕事は、彼の身の回りのお世話だけっ。や、しかし鬼って。
「タイム」
「えっ? あっ! 見習いの方は、タイムさんって言うんですねっ。お年はおいくつですか?」ってアアーッ! 自分でどーでも良い事聞いちゃったっ! くそぅ、他になんか話題無いかなぁ。って言うか、さ。本人相手に見習いの方とかなんか失礼な言い方しちゃって、あたしそろそろ殴られるんじゃ。っあれ? 見習いの方はそう言えば黒髪とか言ってたっけ? じゃあこの人は……。
「12かな」
「えっ、12歳?」
「ジェノバ師匠ーっ! ししょーっ! しーしょっ! おーいっ」バタバタバタバタとせわしない足音と一緒に、医務室に背の小さい黒髪の男の子が元気良く入ってきた。12歳くらいの!
「師匠はやめろって言ってるだろ」
「いーんですよ~っ。へっへ~」
な、なんだか絵に描いたような対称的なお二人です。あっ、この子がもしかしてタイムさん?
「あっ! あかりさん、来てくれたんですね~っ! 覚えてます? 一度だけですが。先週ぼく、地下であかりさんに煎れて貰ったコーヒー飲みに行ったんですけどっ」と、まるで太陽のようにニカアッと笑ってその少年は言った。先週?
「――っああ! タイムくん! か、髪切ったんですね!」先週会ったときは腰まであったのに! 随分バッサリ。スッキリしたなあ。やっぱり凄いお喋り好き。
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