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1.
「......く!?美紅!?」
耳元で誰かの声がする。その声はさっきからずっと同じ名前を叫び続けている。
みくって誰?
…ああうるさいなぁ。
いったいなんなんだと思い、目をゆっくりと開く。
真っ先に飛び込んできたのは大人の女の人の顔。
青白い顔をしている。
そして、その横には大人の男の人。
この2人は夫婦だろうか。互いの薬指にお揃いの指輪が光っている。
…まぶしい。
目が光を拒否しているみたいだ。
起き上がろうとしたがそれすらままならない。
身体も痛む。
「…美紅、よかった…」
目の前の女性がわたしの顔を見るなり安堵したようにそう言った。
「もう目が覚めないんじゃないかと思ったんだから…」
なおも女性は言葉を続ける。
「…みくって誰?」
わたしがそう言うと今まで嬉しそうな顔をしていた女性の表情は凍りついた。
男性の方も驚いた顔をしている。
わたしそんなにおかしなこと言ってないと思うけど?
「美紅…あなた、もしかして…記憶がないの?」
「みくってわたしのことなの?ここはどこ?あなたたちは誰?」
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