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女性はその言葉を聞くとただ黙って涙を流した。
男性も辛そうな顔をしている。
そして、数分が過ぎ…...。
やっと落ち着いたのか女性は静かに話し始めた。
ここは病院で、わたしの名前は天野 美紅というらしい。17歳で高校2年生だという。
そして…5ヶ月前に交通事故に遭い、それから眠ったままだったらしい。
今わたしの目の前にいる2人はわたしの両親で、この5ヶ月間ずっとわたしについていたという。
「…どうしてわたしには記憶がないんですか?」
わたしがそう訊いたとき、
-カラン…。
そんな場違いな音がして、わたしはほぼ反射的にその音がした方を向いた。
すると、やはり真っ白なドアの前に、1人の青年が立っていた。
そして彼の近くには1本の缶が転がっている。さっきの音はこの缶が落ちた音だろう。
「美紅…...っ!」
青年はまるで信じられないものでも見るような目でわたしを見ていた。
この人もわたしの知り合いなのだろうか…。
「目が覚めたのか!?」
つかみかからんばかりの剣幕で青年はまくしたてた。
わたしはそんな様子に驚きながらも彼に問いかけた。
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