第1章『小さな賭け』

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 昼休みなんてすぐ終わる。とくに屋上にいたらすぐに時間が過ぎるのが早い。 魔の鐘が……学校に鳴り響いた。 「……はあ……」 カノジョはため息をつきながら立ち上がった。  教室は、かなり空気が汚い。 別に汚れてるとかではなく、やつらがいるからだ。 カノジョは教室に入ってまたため息が出た。 机に、蛾の死骸があがっており、紙があがっている。 『山本雪のひるごはん』  カノジョ、山本雪はこの紙を丸めて蛾の死骸はティッシュに包んでごみ箱に捨てた。 毎日何かと、屋上から帰ると机の上にある。  そう…雪はいじめにあっている。 最初は、悪口とかだったりへんなあだ名とかだったが、最近では机や下駄箱がよく壊されたりしている。 ……もう慣れた…… 慣れれば、次はかまうのに面倒になる。 雪は、この程度のいじめには我慢できた、でも。 ふと視線をその子へ向けた。 その子は、仲間のメンバーと一緒に雪を見て笑っている。 いじめをしているのは、雪と同じ中学だった友達もなのだ。
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