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おばぁちゃんは、孫のユウキを呼び、代わりにお地蔵様に会って来てほしいと言います。
「なぁ、ユウキお願いや。ワイの最後の頼みやと思うて地蔵さんにおうてきてほしいんじゃ。ワイが来れん事を言うて来てくれへんか。」
「何で俺が行かなアカンねん。地蔵さんも神さんみたいなもんやろう、ばぁちゃん寝込んでるのん空の上からしっとるんちゃうか?」
「頼むからこれだけは聞いてくれ!お前に、この風呂敷を持って行ってほしいんや。」
おばぁちゃんは、何か入った風呂敷を指差し、ユウキに持たせます。
ユウキは、これ以上断れなく思い風呂敷を手にします。
「地蔵さんと同じ背格好の赤い着物を着た女の子に渡してほしいんや。わかったかぁ。」
「何いうてんねん。正月でもないのに今ごろ着物着た子なんておらんわぁ。まぁ、ええけど、とりあえず行ってくるわ。」
重い足取りでおばぁさんの部屋を出ようとします。
「頼んだで、ワイは今でもお前の事忘れとらんと伝えてくれやぁ。」
ユウキは、部屋の戸を閉めて出て行き、仕方なくお地蔵様のある方へ歩きます。
お地蔵様に着き、いつも、おばぁさんが腰掛けている石へ腰をおろします。
「ばぁちゃん、とうとうボケてしもうたわ。こんなん、なんぼ待っても着物を着た女の子なんてくるわけないやん。」
そう言いながらもユウキは、おばぁちゃんがかわいそうに思い待ってみます。
何もしないで座っていたのでユウキは眠ってしまいました。
「つんつん」
誰かに、ほっぺたを突かれ目を覚まします。
目の前に赤い着物を着た女の子がユウキの顔を覗きこんでいます。
「本間におった!それとも夢とちゃうかぁ?」
ユウキは、自分で自分のほっぺたを叩いてみます。
「痛!本間に着物きた女の子や。いったい誰なんや?」
赤い着物を着た女の子は、ニッコリ笑っているだけで何も話さないで見ます。
「お前、口あるんやろう?何かしゃべってみぃ。」
やはり女の子は、黙ったまま立っています。
「ココで何してるんや?変な着物きて、何処の子やねん。」
ユウキの後ろにもう一人の女の子が立っています。
ユウキはビックリしました。
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