始まり

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辺りを見るとお地蔵様は一緒ですが、あたりは田畑が続き、今まであったコンクリートの道は何処にもなく、横に池があるだけです。 「どうなってしもたんや。一体ココは何処やねん。」 ユウキは、もう一度ゆっくりあたりを見回します。 「よう見たら、山も池もオレの住んでるところと同じや。」 「何言うとるんやぁ。あんた、どこから来たん?なんて名前なん?」 赤い着物を来た女の子でない、着物を来たもう一人の女の子が聞きます。 「名前は、ユウキや。そやけど、どこから来たんかはオレにもわからへん。寝てるうちに来てしもたんや。」 「あんた、どっか悪いんか?まぁ、ええけど。ウチは、坂東タマ子や。」 「えっ!坂東タマ子?ばぁちゃんの旧姓と同じや!」 ユウキは不思議そうに女の子を見ます。 首筋におばぁさんと同じホクロをあるのを見つけます。 ユウキは、以前おばぁさんに見せてもらった写真を思い出しました。 「オレ、タイムトラベルしてしもうたんかぁ、この女の子はばぁちゃんや!」 「さっきから何を言うてるんや?ばぁちゃんなんていてへんやん!」 ユウキは、女の子の顔をじっと見ます。 「いや、オレにもようわからんけど、あんたはオレのばぁちゃんや!」 タマ子は、首をかしげます。 「変な子!こんな子ほっておいて行こう~。」 タマ子は、赤い着物の女の子の手を引っ張って池のほとりへ行きます。 そこで二人は、お手玉を始めました。 「♪~一番初めの一ノ宮~、ニまた日光の東照宮~、三また桜のしょうごろう~、四はまた信濃の善光寺、五つは出雲の大社~~♪」 ユウキは、二人のお手玉唄を聞きながらリズミカルに動く手を眺めます。 「面白そうやな。本間に楽しそうにしよる。」 ユウキは、時間の経つのも忘れ、二人のお手玉を見ています。 そのうちに自分もやってみたくなりました。 自分の方がもっと上手く出来る気がしたからです。 「なぁ、オレにもやらせてよ。」 その言葉にタマ子は、お手玉の手を止めます。 「アンタ男の子やのに、お手玉したいん?」 ユウキは、少し照れくさそうに言います。 「男は、やったらアカンのかぁ?」 「別にええけど。」 タマ子は、そう言うとユウキの手の上にお手玉を乗せてあげます。
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