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ユウキは、お手玉を手に乗せてもらい一つ二つと見よう見真似でやってみます。
始めてのお手玉です。
上手く取れないでイライラします。
負けるのがキライなユウキは何度も何度も投げては落としながら続けます。
「やってみると結構、難しいなぁ。」
見かねたタマ子はユウキの持っているお手玉を取ります。
「ちょっと貸してみぃ。こうやって一つ投げたら、もう一つつかんで手をまわすんや。」
いつの間にかユウキは不思議な感覚がなくなり目の前のタマ子がおばぁさんかも知れないことや、時空を越えてきたと云う事も忘れていました。
草の上に座りお手玉をする事を心の底から楽しく思います。
赤い着物の女の子は、相変わらず黙ったままでしたがユウキがお手玉を落とすたびに拾い上げ手にのせてくれます。
「もう、日も沈んでしまうからウチ帰るわ!お手玉返して!」
ユウキはまだしたい気持ちを残しながらタマ子にお手玉を返します。
タマ子は手にお手玉を乗せるとお手玉を高くなげました。
その投げたお手玉を取ろうとした時です、取り損ねたお手玉が手を弾き池の中へ落ちてしまいました。
「あっ、お手玉が・・・」
タマ子は、何も考えないで池へ飛び込んでしまいます。
お手玉はどこに落ちたのか、池の深さも何も考えないでタマ子は入って行きます。
赤い着物を着た女の子も池の中へ入って行きます。
ユウキにはどうすることもできず大声で助けを求めました。
さっきまで確認できていたタマ子の姿が見えなくなり、赤い着物の女の子もその後ろをどんどん沈んで行きます。
「誰か来てくれ!誰か助けてくれ!オレよぅ泳がんのや!誰か二人を助けてくれ~!。」
どれくらい時が経ったのか、池の中から「ザブッ、ザブッ」と音をたてて赤い着物の女の子がタマ子を抱いて池から上がってきました。
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