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「あ~、助かったのか!二人とも溺れてしもうたと思ったわ。」
赤い着物の女の子は草の上にタマ子を寝かせ飲んだ水を出させます。
「ゴホッ、ゴホッ!」
タマ子が目を開けます。
「お手玉あったか?まだ池の中か?」
ユウキは首を振ります。
「そやけど、お手玉よりお前が溺れて死んだらどうするねん。お手玉は又買ったらええやろ!」
「ゴホッ!あのお手玉は死んだ母ちゃんの作ってくれたお手玉なんや、死んだ母ちゃんにどないやってもう一回作ってもらえるねん。」
タマ子は髪も着物もずぶ濡れだったので流れているのは涙なのか雫なのか分からないものが頬をつたいます。
日もすっかり暮れてしまい池をうらめしそうに睨みながらタマ子は立ち上がります。
「明日また来るわ。助けてくれてありがとう。」
赤い着物の女の子に言うと走って帰ります。
その後をユウキはついて行きました。
タマ子は、見覚えのある感じのする家に入って行きます。
ユウキは、しばらく様子を見ることにします。
「ただいま!」
頭から着物までズブ濡れの姿で帰ったタマ子をみて、タマ子のおばぁさんが言います。
「ほれ、どうした。そんなに濡れて。雨でも降ったんかぁ?」
「違うよ。地蔵さんの横の池にお手玉を落としてしもうたから、おもわず池に入ってしもうたんよ。」
「何をするんや。溺れていたらどないするねん。」
「そんなん言うたかて、お母ちゃんのお手玉やもん!でも、よう見つけんかったけど・・・」
「お手玉やったら、ばぁちゃんが作っちゃるから、もう池になんか入ったらいかんよ。」
「でも・・・」
「でももヘチマもあらへん、はよう着物着替えてしまい!風邪ひいてしまうやろ!」
「うん、分かった。ウチもちょっと寒気してきたから、すぐに着替えるわぁ。」
濡れた着物を脱ぎながら、おばぁさんと部屋に入って行きます。
着物を着替えてご飯を食べようとしましたが頭が重く、寒気もヒドクなり、タマ子は熱を出してしまいました。
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