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「俺は…自動車の整備士になりたいって前に話した事あったよね?
変わらないよ。
ただ、わざわざ高校をS市にしなくても整備士の資格をとるのに問題ないのはわかってる。
お金だってかかるし。」
少し申し訳なさそうに答えた。
「そりゃそうだが…でもお前はS市の高校に行きたいんだろ?
別に俺は反対してる訳じゃないが、S市に行くなら条件がある。」
完全に自分がS市の高校を選ぶという事をわかっていたような口ぶりであった。
「一応お前は小学校から今まで野球をやってきたんだから、S市の高校でも野球をやるなら行くのを認めてやる。」
野球…。
当時の自分にとっては、やりたくないスポーツのひとつであった。
これには色々理由があるが、野球の審判の資格を持っている父はとんでもなく野球バカで、さらに野球の事になると恐ろしいぐらい厳しさの増す人であった。
小学校の三年生の時に自分が風呂に入る時は、必ずビール瓶を持って浴槽の中で手首を使って投げる練習をさせられたり、試合でヒットを打てなかったりした日には、何故打てなかったのか反省文を書かされたり、グラウンドに引っ張り出されては何かと練習させられたりしていた。
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