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夜中の11時頃、お酒を片手にヒロの家を飛び出す。
ヒロの親に見つかったら怒られる為、家から少し離れるまでは二人とも全力疾走であった。
「ケイちゃんとこうやって夜中に抜け出したり出来るのもあとちょっとか…。」
フラついた足取りと、全力疾走での息切れで苦しい表情だがヒロは言った。
その言葉を聞いてとても辛くなった。
自分は友人達と会えなくなる辛さを背負って、S市の高校に行くのだと実感した瞬間であった。
S市の高校に行くという事は、こういう辛さもあるのだと、頭の中で理解はしていたのだが、イマイチそれがピンと来なかった。
ただ漠然にそういう事になるとしか考えていなかった。
ヒロの一言で痛感した。
毎日のようにバカばかりやっていたが、それはもう残り数日だけしか出来ない。
S市の高校に行くのなら…。
そして、辛さを実感したと同時に、自分の中でそれに対する覚悟も出来始めた。
俺は野球がやりたくなくて戸惑ってる事よりも、皆と好きな時に会えなくなる方がよっぽど辛い。
だけど俺は甘えを消して、これを今乗り切らないといけない課題だと思ってる。
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