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自分の粗末な挨拶等まったく気にしていない様子で言葉を返してきた。
体育館までの短い道程の中、ケンと互いの出身について話をしたが、ケンは隣の町から一人でこのS高校に通う事になったらしい。
さらに野球部に入るという所までも一緒で、二人とも意気投合した。
やがて全校生徒が体育館に集合し、入学式が始まる。
生徒の父母達も大勢いる為、化粧品の匂いが体育館中に漂う。
「俺この匂いダメなんだよな~。」
ボソッと後ろにいるケンが囁いてくる。
「わかる…。俺もダメなんだよ。」
軽く振り返ると、ケンが鼻をつまんで自分を笑わそうと大袈裟にリアクションをとっている。
少し笑いかけたと同時に、ちょっと離れた所から担任のT先生の視線がこちらを向いているのに気がついた。
「見てるわ…担任のT。」
今度は自分がケンに囁く。
ケンもT先生の視線に気付いた為、いかにもヤバイと思った顔つきで姿勢を正す。
二人で少々ふざけ合ってるうちに、校長先生の長々とした話が始まった。
「いい加減やめねぇかなこの爺さん。」
今度は自分が痺れを切らし後ろのケンに話し掛ける。
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