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それはバンドであった。
自分は中学校一年生の時にギターを始めたのに対し、ケンはほぼ同時期にドラムをやっていた。
自分の始めるきっかけは、中学の学祭に出る為に皆でやる事になったのだが、その理由までもが一緒であった。
偶然もここまで重なると怖く感じるもので、お互いビックリするしかなかった。
もっと話をしたかったが玄関まで着いてしまった。
互いの親も待っている為、最後に「じゃあね!」と一言だけ交わす。
校門付近には父が手を振って待っていた。
タクシーで部屋まで戻り、今度は実家から父と母と三人で乗ってきた車で生活用品を買いに行く。
この場所から歩いて行ける距離で何かと店が揃っており、比較的生活する為の物を買うのに困る場所ではなかった。
まずはホームセンターから寄って行く。
テレビにテーブルと必要な物だらけの自分には、あまりじっくり選んでいる程時間と気持ちの余裕が無く、親に気を遣う事しか頭の中にはなかった。
「とりあえず安いしこの辺のでいいよ。
欲しくなったら自分でバイトして買うから。」
自分が言った事に対し父も母も少し寂しそうな顔をしていた。
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