入学式

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しかし母は、金銭的に浮く事に対しては少し嬉しそうな表情を浮かべていた。 ちょっと長かった買い物も無事に終わり、三人で自分の新しい住居に戻る。 この日から自分が寝泊まりする家は、学生から社会人までもが住む事が出来る下宿で、各部屋10畳前後で風呂もトイレも部屋に付いている悪くない部屋であった。 管理人は家族で経営している下宿である為、言ってしまえば家族全員ではあるのだが、良く皆の面倒を見てくれてるのが70歳ぐらいで背も低くて腰も曲がってしまっている優しいおばあちゃんだった。 朝は車を置く為だけに立ち寄ったので、簡単な挨拶しか出来なかったので、三人で管理人室に出向き、再度挨拶を済ませる。 買って来た物を部屋まで運び、適当な所に置き一先ず皆で落ち着く。 「明日から一人だがなんとかがんばってやるんだぞ。 俺達は直接は何もしてやれないんだからな。」 父が不安そうではあったが、やや寂しげな表情であった。 「大丈夫だって!心配ないから!」 軽くウザさを感じながら素っ気なく答える。 ちょっと空気も悪くなった所で母が話を切り出す。 「お腹も空いたしなんか食べにでもいきますか!」
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