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「俺はS市の高校はスベリどめで受けてるだけだと思ってたよ。」
ムラの表情が徐々に真剣になってくるのが見て取れた。
「もちろんそのつもりで受けたんだけどさ…なんか地元の高校受かってそのまま通うって言うのも普通すぎるような気がしてね…。
せっかく他に道が出来たからそっちに進むのもおもしろそうだと思ってるんだわ。」
今の自分の正直な気持ちをムラに話した。
「なるほどね~。確かにそうかもね…。」
とムラは答えたが、どこか淋しげな表情だった。
「まぁ今日はみんな合格してめでたい日だから酒でも買ってこようぜ!」
中学生の自分がまるで大人のような事を口にする。
この後、総勢10人ぐらい集まったと思うが、けっして広くはない部屋でドンチャン騒ぎがひらかれた。
皆が揃って笑っているのを見れるのもこれが最後になるかもしれないと感じながら…。
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