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深夜一時過ぎ。
地下へと続く階段を下りると。
クラブの中のざわめきが微かに漏れ聞こえた。
そして扉が開けられると。
ざわめきは一気に大音量となって加奈子の鼓膜に押し寄せた。
前を進むスタッフの男が振り向いて何か言う。
ざわめきに紛れて聞き取れなくて加奈子は聞き返した。
「休憩、ゆいちゃんが先ね。」
…誰それ、と思って。
ゆいちゃんが自分だと気付くまでに時間がかかった。
加奈子が大分遅れて返事をした時には、すでにその男はこちらを向いていなかった。
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