噂の転校生

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この日の放課後、帰ろうとした俺を数人の女子が囲んできた。 「神崎君、このあとちょっといいかな」 『別に?構いませんけど』 連れてこられたのは体育館の倉庫しかも古い方ね。 「あんた何様なわけ?」 『は?』 つい間抜けな声が出た 「はじゃないわよ、あんた委員長に頼りすぎなのよ」 「地味男は地味男らしく私たちのパシリしてればいいのよ!!」 『言いたいことはそれだけ?』 冷めきった目で見ると少し身じろいだ 「な、何よその目!!」 『もとからですが?』 「あんた馬鹿にしてるの?」 深くため息を吐くと顔を真っ赤にさせて女子のリーダーらしき奴が俺の頬を叩いた。 「あんた、うざいのよ」 うざいって言われてもなぁ… あ、頬腫れるかな 腫れたら凛に殺されるだろーな色んな意味でだけど。 ぼーっと話を聞いているといきなり倉庫の扉が開いた。 「こんな所で何をなさってるんですか?」 「い、委員長これは」 「違うんですっ…」 「1人に多勢とは少々いただけませんね…俺の学校で風紀を乱す子にはお仕置きだよ?」 「それだけは…」 「許さないからね、覚悟しなよ」 女子たちは顔を真っ青にして出て行った。 「怖い思いをさせてしまったね、大丈夫かい?」 『大丈夫、これくらいなんともないですよ』 差し出された手を無視して立ち上がり制服についたほこりを払って乱れた制服をきちんと直し倉庫を出た。 『あ、でも助けてくれてありがとうございます。篠崎君』 一瞬彼は目を見開いたがしばらくするといつもの顔に戻った。 「お礼を言われるようなことはしてないですよ」 その声をバックに俺は凛の家に急いだ。
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