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夏月さんの運転する車が、海の見える道路脇に停車する。
「ティナたかさん、ここは、志津川湾だよ」
そこは、小島が浮かぶ、綺麗な風景。
「震災の後はね、対岸に見える、あの丘にある中学校が避難所になったんだぁ」
夏月さんが指し示す先には、高台にある、茶色い屋根の中学校。
避難所……
慣れ親しんだ志津川湾の変貌した姿を、あの、海の見える小高い丘の上の学校から見下ろした方々の心境たるや、想像を絶する事であっただろう。
「津波の後はね、この湾の海水が一気に引いて、あの小島の底が見えたらしいよ」
引き波……
そんなに、凄いんだ……
「今日行く仮設にすむ方々ね、この地域に住んでいた方も多いんだぁ。小舟を出してね、あの小島までよく遊びに行ってたんだって」
ティナ狸子助著
《それでも、明日を見つめてる》より抜粋させていただきました
![image=476158415.jpg](https://img.estar.jp/public/user_upload/476158415.jpg?width=800&format=jpg)
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