〓らいおん通信〓9月号

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夏月さんの運転する車が、海の見える道路脇に停車する。 「ティナたかさん、ここは、志津川湾だよ」 そこは、小島が浮かぶ、綺麗な風景。 「震災の後はね、対岸に見える、あの丘にある中学校が避難所になったんだぁ」 夏月さんが指し示す先には、高台にある、茶色い屋根の中学校。 避難所…… 慣れ親しんだ志津川湾の変貌した姿を、あの、海の見える小高い丘の上の学校から見下ろした方々の心境たるや、想像を絶する事であっただろう。 「津波の後はね、この湾の海水が一気に引いて、あの小島の底が見えたらしいよ」 引き波…… そんなに、凄いんだ…… 「今日行く仮設にすむ方々ね、この地域に住んでいた方も多いんだぁ。小舟を出してね、あの小島までよく遊びに行ってたんだって」 ティナ狸子助著 《それでも、明日を見つめてる》より抜粋させていただきました image=476158415.jpg
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