〓らいおん通信〓2月号

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 ルイは当時中学生で、学校や部活ではいつも笑顔の中心にいるような、明るく活発な女の子 プロ野球の楽天の大ファンで、自称次期楽天の監督候補だった私とも気が合い‥ あの地震があった直後、ルイは真っ先に避難場所へと走りました 地震が来たら津波に備えて避難するんだって、ちゃんと知っていたんですね でも、おじいちゃんが避難していないと知ったルイは、おじいちゃんを避難させるために家に戻ったんです そこに‥津波がやってきました ルイが発見された時、大きなリュックを背負っていたと聞きました リュックの中には、毛布が3枚、ペットボトルの飲料が3本、あとはチョコレートなどの非常食と、大好きな楽天の選手と撮った写真、色紙‥ 水に浸かった毛布、飲料が入ったペットボトル‥重かっただろうな 妹とおじいちゃんの分と3人分、最後まで肌身離さず背負ってたんですね とても賢い子でした 私なんかよりずっと‥ 避難するのに何が必要か、地震の後の短い時間でそれを察知し準備して出たルイ 妹思いでおじいちゃん思いで、優しい子でした ルイは亡くなってしまったけど、何も間違ったことはしていないと思ってます おじいちゃんを助けに戻ったことも、正しいことをしたんだって思います 避難場所では、ガス、水道、電気が全部止まって、雪が降る中、暖房もなくて、洋服も濡れて、寒い思いをした人が大勢いました 風邪をひいたら薬もないし、病院は流されてなくなって 食べ物もなくて‥ 何日か過ぎたら食料の応援が届いたけど、コンビニやスーパーに売ってるおにぎり1個だけだったり お父さんやお母さんは、自分の分のおにぎりを子どもたちにあげたけど、それでもお腹いっぱいにはならなくて お風呂にも入れないし、着替えもない、歯磨きもできないし、もちろんゲームもないんだよ 今はみんな普通の生活になって忘れてしまったかもしれないけど、でも地震や津波はいつ来るかわからないから もしまた津波が来た時に みんなには絶対、絶対無事でいてほしいから、悲しい思いをして欲しくないから
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