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…パンッ…パン…
式が始まる合図の花火が国全土に鳴り響いた。
ファンファーレと共に
長く城から突き出たテラスには白銀の甲冑を纏った騎士が馬に跨がり剣を掲げ…
そうだな、数は30程。
床に敷かれた深紅のカーペットの両脇に足並み揃え並び出した。
人々は今か今かと言わんばかりに騒ぎたててたのも、花火がなり式が始まれば静かにテラスを見つめ始めた。
左にアンジェリカ
右にアデル
真ん中にはフレイ。
3人が民の眼前へとゆっくりと足並み揃え歩きだした、歩幅が合わないフレイには一苦労と言った様子だった。
たどたどしいが懸命に、踏み出す一歩々々が、徐々にテラス先端に近付くに連れて…
風を纏い...
背に羽根を生やし...
親鳥の後を追う子鳥の飛び立ちの瞬間。
とでも言うのが相応しいであろう。
この日の為にとアンジェリカは仕立屋と毎日の様に我が子の衣装について支度をしてきたのだ…採寸を嫌がり逃げるフレイを追いかけ、城内で鬼ごっこをしてた位だ。
嫌がりぐずり始めたフレイに泣かないようにと大きなウサギの縫いぐるみを与えたのも総てはこの日の衣装作りの為。
にしても縫いぐるみが大きすぎないか?
と思ったのは気のせいだろうか…
子の体とは成長著しく、御披露目式ギリギリに採寸し、生地と装飾と衣装のイメージは予め決めておくのだ。
なので、後は採寸さえ済めば衣装を作るだけなのだが……
どうもフレイは採寸を嫌がる傾向に…いや、ジッとしてられないたちなのだろう、その方が子供っぽくて親としては有り難い限りだ。
が…アンジェリカはほとほと疲れ果てた御様子であったが、毎日、笑顔を浮かべ楽しそうに仕立屋と話す姿は、フレイの笑みを見ると母親に似たのだなとつくづく思う。
そんな事を思いながらも…テラスの先端にたどり着いた。
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