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民衆の前に現れた3人。
春の陽気に抜けるよな青い空、放たれた白鳩が空を旋回して飛んでいる。
真っ白な衣装の左胸には深紅の薔薇と黒いレースをあしらったコサージュ。
短パンに黒いブーツ。
フレイ、いや、王子としての素質なのだろうか…
あの、衣装をサラリと着こなしてしまうとは。
生まれながらに「神童」などと持て囃されいるが…その拍車に負けぬ強い子に育って欲しいと願う。
王と妃の間に挟まれ二人の顔を目線が行ったり来たりと泳いでる。
「…フレイ…あそこの少し高い台に上ってこの国の民に顔を見せて来なさい。」
アデルが父親としてではなく王としての、威厳を含んだ声音で凛と囁いた。
それを聞いたアンジェリカは、我が子を慈しむかのような目で優しくフレイの背に手を宛て軽く前へ押しやり…呟いた。
「フレイ。貴方はこの国の王子として初めてのお仕事よ…母さんは此処で見ててあげるから、いつもの様に元気に行ってらっしゃい。」
フレイは今までと違う雰囲気を感じ取ったの今にも泣きそうな顔になった…
今まで城の外には出ず、敷地内のみで遊び育てられたのだ、外の情報など教育係が話す程度で、己が"王子"という、身分の理解など齢5歳の子供に解る訳も無い…
フレイの目に映るものは敷地内の物・者しか見たこと無いのだ。
そんな子を、いきなり何万もの民衆の前に一人で顔を見せに行け。
と言われ、要求されれば幼い子の心と思考は途端に不安に陥るのが当たり前であろう。
「…やだ…こわい…うさちゃん…ぼく…こわい」
俯き不安要素を漏らし、涙を目に溜める姿は今にも助けてあげたい衝動に駆られた。
アンジェリカは手を差し延べてやりたいのだろう…だがギュッと握り拳を作り。
"妃"としての勤めを果たそうと"母"としての心と葛藤している様にみえた。
フレイに視線を向けたまま二人は徐々に後ろへ下がり距離をあけた。
ダッっと駆け寄り戻って来そうなフレイを王は許さなかった。
「フレイ!!」
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