5人が本棚に入れています
本棚に追加
…………………
フレイは頷くと今までの泣きそうな顔とは打って変わり、真っ直ぐ王を見つめこう放った。
「おとうさま…ぼく、かあさままもる、いっぱいのひとからまもる」
小さくも意志を宿した言葉は王を含め、妃の耳にもはっきりと届いた。
小さき王子は身を翻し、
小さな台へと向けて足を踏み出した…それは先程のフレイとは全くの別人かと思わせるほど、状況を一部始終見ていた騎士達も彼の変わり様に一安心した様だった。
「…こわい…けどまもる。
ぼくは、かあさますきだからまもるの。」
高鳴る鼓動を胸に、台へと足を掛け民衆の前へと登場した小さき王。
フレイの目に映るもの…
何万もの民衆…城下街…
大地には青々と茂る山々。
遠くに見えるはお伽話で聞いた海。
そして溢れんばかりの歓声。
「わぁ~…すごい…かあさまが言ってた、たみ?たたみ?どっちでもいいや…」
そして、与えられた仕事。ぼくだけの仕事…
かあさまが言ってたんだ…
台の上に立ったら大きな声で言うんだ。
大丈夫…何回も練習したんだから。
「フレイ、来なさい。大切なお話しがあります。貴方には御披露目式で初めてのお仕事をするのよ。」
おしごと…
かあさまがおしごとおしえてくれたの。
「台の上に立ったら大きな声で民に言うのよ?」
フレイは思い出を胸に民へと視線を向け、こう言い放った…。
―わが名はフレイ!!この国のおうじだ。皆々にしゅくふくあれ―
……………………
最初のコメントを投稿しよう!