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小さき王が発した声は民の耳に余すことなく、一字一句洩れる事なく響き渡った。
少しの静寂にその場は包まれた。
小さき王の鼓動の高鳴りは最高潮に、胸のコサージュをギュッと掴み固く目を閉じた。
不安の波に押し寄せ流されぬ様にと…父の想いと母の思いを幼いながらも果たそうと。
後ろから、見守るアデルとアンジェリカは果敢なる我が子の姿を祈るように見た。
そして二人は想った。
『宣言する事がどんなに重要かは、"未だ"わからないだろう…だが己が"王子"として、そして何れは"国を担う者"とはどんな立場か、理解するには、これから沢山の出会いと経験を積んで出来るもの。今日、この瞬間からは貴方は一人の"王子"として生きていくんだ。」
我が子の姿をただただ祝福の念と我が子の生涯を安ずるばかりだった…
後に沸き起こったのは割れんばかりの歓声と祝福の嵐が巻き起こった。
小さき王は耳に届く歓声を聞けば固く閉じた目をゆっくりと開き眼下に広がる民衆を見渡し天を仰ぎ、深く呼吸をした…
天空からの太陽の光は、まばゆいばかりであった。
純白の衣装は益々色濃く輝き、金色の髪の毛が風に揺れれば、星屑が瞬くかの様に煌めきを振り撒いた。
民衆はそんなフレイの姿を見ればぽつりと呟いた…
「天使の様だ…」と。
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