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「貴方…早く、ご覧なさい、まるで天使だわ。寝顔を見てるだけで心が満ち足りてく気分だわ…」
春の暖かな陽射し差し込む
窓辺にスラリとした華奢な
体に桃色の柔らかな衣を
纏った女性がほほ笑んだ。
琥珀色の緩くウェーブのかかった髪の毛がふわりと
風をはらみ。
陽差しを浴びながら、優しい声音を奏でる唇と我が子に向ける藤色のあたたかな眼差しはまるで…
赤子を抱く聖母マリアを
彷彿させる。
「アンジェリカ…これはまた、天使が舞い降りたのかと…いや君が我が子を抱き佇む姿はマリアが降り立ったのかと…私は息を呑んだよ…」
笑みを浮かべる女性…
アンジェリカ。
この国のお妃である。
そして、我が子との
対面を心から待ち望んだ。
と足早に駆け寄る
長身の金髪…
紺色のローブを纏い、
金の刺繍が施された王のみ
着ることの許される
深紅のマントを翻しながら
我が子の元へ駆け寄る
一国の主。
アデル。
見た目はさほど屈強では
ないが細身の体にはバランス
よく筋肉がついてる。
癖一つ無い整えられた
少し長めの髪の毛。
光を浴びれば金糸の様に
輝き。
切れ長の眼から感じる
冷酷そうな風貌は
落ち着いたトーンの声音と
常に笑みを浮かべてる
姿からか余り感じられない。
まさに眉目秀麗と
いう言葉が当て嵌まる。
物腰柔らかな雰囲気からは一国の王とは思えない程
無邪気な笑みを浮かべ
我が子の頭を撫でている。
「貴方…名前は決めたの?」
そう、この国は王と妃の
あいだに子を授ると。
男児であれば父親が名付け。
女児であれば母親が名付ける。
と言う代々受け継がれる
王族独特の伝統がある。
アデルはアンジェリカと
一瞬視線を合わせ、任せろ。
などと言いそうな様子で
短く、ぽつりと我が子に
囁いた、でもそれは愛情を溢れんばかりに含んだ声音で。
「フレイ」
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