奴隷の国

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「おい、7番仕事だ出ろ」 少年は返事をして、四角い牢屋の様な部屋から外へ出た。 「今日の仕事は、城壁の補修作業だ行け」 少年は再び返事をして、食事の入った袋だけを抱え、施設の外で待っていたトラックに乗り込んだ。 この国は先日大きな地震により城壁の一部が倒壊してしまい、その補修作業の為に施設から多くの人間が駆り出されていた。 作業は順調に進み、昼の休憩も終わり午後の作業が開始された。 7番と呼ばれている少年は城壁の一番上の修復作業を行っていた。 昼の仕事開始から約2時間、城壁の外からエンジン音が聞こえてきた。 ふとそちらの方を見ると、バイクに跨がった一人の旅人がこちらに向かってきていた。 作業を行いながらそちらを気にしているとその旅人と目があった。 旅人はその少年に向けて手を振っていた。 少年は自分以外周りにいない事を見て手を振り返した。 旅人は久しぶりに国を見つけて嬉しいのか満足そうな笑みを浮かべ国に入っていった。
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