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宿屋の主人はサクという名前だった。
かなり気さくな方でアルはサクに自己紹介をし、会話しながら楽しく歩いていた。
不意にサクはアルにこう尋ねた。
「アルさんはこの国がなんて呼ばれてるか知っているかい?」
アルは素直に首を縦に振り、
「たしか、幸せの国でしたよね?」
とサクに聞き返した。
サクは首を縦に振ったが少し暗い顔になりこう言った。
「ああ、たしかにそうだ。
だけどね、もう一つこの国には呼び名があるんだ。
それは国の中でしか使われてないがね。」
サクはそこまで言うと言葉を切った。
アルはこんな素晴らしいと言われる国に、そんなに暗い顔になる様な呼び名がある事が気になってしまい、思わずサクに聞いてしまっていた。
するとサクは、
「いずれ分かる事だから教えとくよ。
この国のもう一つの呼び名、それは奴隷の国。
この国はね、他国に奴隷として人を売ったり、この国の中で強制的に働かしたりしているんだよ。」
まあ一部の人だけだけどね、と付け足した。
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