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男は呆然とした。
自分の余命があと一週間だと宣告されたのだ。
嘘だ、ありえない、これは夢なんだ、現実にはないことなんだ…
男はまるで壊れたラジオのように独り言をつぶやいていた。
というのもその男、いわゆる「神」の声が聞こえるのだ。
その声は彼に色々なことを教えた。
これから起こることなどを次々と言い当てた。
彼は神を信頼した。
しかし、というか当たり前なのだが、誰もそのようなことは信じてくれなかった。逆に周りの人間は彼を不気味だと言い、彼を周囲から孤立させた。
そんな神が彼に言ったのだ。
お前の余命は、あと一週間だ。
しかし、彼は『神』と会話することは出来なかった。そもそも、彼は『神』と会話したことがなかった。
幸い今日が日曜日で、彼は家にいた。道端で彼がぶつぶつつぶやいていたら、警察沙汰になっていただろう。
彼はありえない、ありえない、とつぶやき続けた。涙も出てきた。虚しい、悲しい、苦しい、怖い…
彼はもう悪魔にとりつかれたようだった。
しばらくして、彼は家を出た。一人暮らしのボロいアパート、いつかはマイホームが欲しかった。しかし今の彼にはそんな考えなどとてもない。
彼は放心状態、ただ道をふらふらと、ふらふらと歩いた。
いつしか暗くなっていた。街はネオン色に輝いていた。しかし彼の目にはそんな色には見えてない。灰色、灰色、灰色…
そしてどういうことだろう、彼は無意識のうちに行きつけの喫茶店に入っていった…
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