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「竹中君、大変でしょう? 私、作ってみたの。良かったら食べてねっ」
「あ、たこさんウインナー入ってるっ。ありがとう!」
「ジェーシカっ、サッカーするから来いよっ」
「あぁ、わかった」
休み時間になると女の子たちと会話を楽しんで、お昼を食べたら男たちでワイワイと駆け回る。
笑顔っていいよね。
特に女の子の笑顔は花が咲いたみたいでさ。
俺の家にはない癒やしだなー。
……君も笑えばいいのに。
君は他の女の子と違って、俺を特別扱いはしない。
まるで性別を感じさせない君の付き合い方は、裏表がなく誰にでも平等で、俺にとって心地がよかった。
決して女らしくない訳ではない。
寧ろ、俺からみたらクラスの誰より女らしいと思う。
母さんがいない分、女らしさを強く求める俺には、君は理想の女性に見えた。
遠くから眺める君は俺と違って優等生で、毎日忙しく部活をしている。
剣道部主将で生徒会執行部、チャラチャラした俺とは何もかもが正反対。
接点なんて一つもなかった、はず、だった。
「うわぁ……サイアク……俺、目ぇ悪いのに一番後ろかよぉ、なあ、誰か変わってくんね?」
公平な筈のクジによる席替え。
なのに、こういう事が起きるのが世の常だ。
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