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まぁ、俺は視力だけはいいんで、あんま理不尽さを感じたことはないけど。
「あ、俺、一番前っ! なんか奢ってくれんなら、替わってやらなくもないぞー」
「マジっ!? ジェシカ、さんきゅー、あいしてるっ!」
「んじゃ、帰りにマ○クなっ?」
そんないつもと何も変わらないやりとり。
まさか俺の世界が変わるなんて、思ってもみなかった。
「おっはよーっ」
邪魔な前髪を可愛いゴムで結んだ俺は、いつも通り挨拶をする。
ここではじめて俺の隣は君だと知った。
「ウソ……だろ?」
ヤベー、俺、髪、結んでる場合じゃなくね?
君は俺の悩みなんて知らないだろう。
クラス名簿に俺と同じカタカナの名を見つけた時から気になって、君を見た瞬間、惚れました、なんてさ。
どこのベタベタな恋愛漫画だよ……。
体育祭だって、文化祭だって、少しでも君に近づこうと同じ係に立候補したり、けっこー涙ぐましい努力をしたのに、ことごとく敗退。
なのに、なのに、今の今でコレですか、神様?
ヤバイ、本当にヤバイ。
心の準備が……。
「なっ、ジョニーってさ、サンドイッチ、好き?」
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