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丸山ジョニーは公園のベンチの上に佇んでいた。
事の始まりは一週間前に遡る。
ジョニーが仕入れを済ませ店に戻ると、入り口の前に見知らぬ女性が一人、路地から隠れるように座っていたのだ。
そこに居られては店に入れない事もあり、渋々ではあったが声を掛けた。
「ウチに何か御用ですか?」
いえ……とだけ答える彼女は酷く怯えているようで、同じ女としては、ハイそうですか、で済ますのもどうかと思う。
そこで、店で一杯どうかと誘ったのだった。
ジョニーが仕切っていると言っても過言ではないバーは、路地裏の目立たない店には似合わない常連客が連ねる。
ちょっと有名な隠れ家といったところだろうか。
その人気は、相談事から面倒事まで大抵のことは引き受けてくれるマスターの人柄だと言えるだろう。
かくいうジョニーもマスターの影響か、目の前にいるスレンダー美人を放っておくことが出来ずにいた。
「はい、コーヒー。これは私の奢りね。私はジョニーって言うんだけど、アンタ名前は?」
「純……」
「へぇ、いい名前じゃん。似合ってる」
自分もコーヒーを飲みながら、カウンターから彼女を見ていた。
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