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「くっそぉー、こーなったら決定的証拠を意地で撮ってやるっ」
ジョニーはさっきまで腰掛けていたベンチに立ち、カメラを構えた。
被写体に合わせシャッターを切る。
「……」
──いや、まさかね。
見知った顔のような気がしたが、もう一度確認の為にカメラを覗く。
──いやいや、有り得ん……。
深呼吸をしてもう一度覗いた。
「あンの、ばか! 何チューことしてくれてんのぉ? 遂に切れたか、何か大事な何かが切れちまったか、脳の大事などっか的な?」
盛大にぶちまけたジョニーは自分の出立ちを思い出し、周りを見渡した。
──やっちまった……。
本来、直ぐに確保するのだが、残念ながらと言うべきか、犯人の行動は手に取るように分かってしまう。
捕らえるのはいつでも出来る。
問題は純に何と報告するかだ。
──あー、どうすっかなぁ……。
と、気付いたら20分も過ぎていたのだ。
いつものクセで無意識に腕時計を見ると、店に出ないといけない時間になっていた。
周りから見ればかなり怪しいお姉さんなジョニーだったが、ベンチから降りると何事も無かったかのように商店街に消えていった。
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