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魔法の指輪は、青く光りながら、ずっと暗いところで眠っていました。
ある時目が覚めると、
目の前にはぼろぼろな身なりの青年が指輪をじっと見ていました。
「これを売れば…」
青年がそう言うのが聞こえました。
何だか困っているようなので、指輪は青年に語りかけました。
青年の悩みは、お金がないことでした。
病気の母がいる。
働く妻がいる。
飢えた子供がいる。
けれど、お金がないのでした。
その話を聞いた指輪は、
何か一つ、望みを叶えよう
と言いました。
だけど、
たった一つだけ、ある望みはしてはいけない
とも言いました。
「してはいけない望みは分かりませんが、今はお金が必要なんです。
お金を出してください」
青年が頼むと指輪は、魔法の力でたくさんのお金を出してあげました。
母の病気も治せるし、
妻に化粧もしてやれる、
子供にも食べさせてやれる。
青年は喜びました。
何度も何度も、指輪にお礼を言いました。
嬉し涙も溢しました。
指輪は、
苦しい事があれば私の事を呼びなさい。
と言って、煙のように消えてしまいました。
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