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「紫電だあ!?はっ、聞いた事無ぇなあ……どこの弱小チームだおい!」
ゴーグルをぐいっと下げながら叫ぶ噴上竜也。
彼を睨み付けている長髪の少年。灰色の髪に赤いメッシュ。それは稲妻のようだ。
「神崎とか言ったよな!どこの誰かは知らねえが、ただで済むとは思うなよ!」
言いながら、大きく息を吸い込む。
少年、神崎京志郎は、勢い良く地面を蹴ると、噴上目掛けて駆け出す。
彼の頭上に炎が降り注ぐ!
しかし間一髪、噴上の真下まで辿り着いた神崎は炎をやり過ごすと、一気に駆け上がった。
噴上の眼前まで迫る神崎。だが、
「甘いんだよぉ!」
噴上は口元をすぼめ、吹くように息を出す。そのまま首を神崎の方に向けると、長細い炎が彼の周囲を薙いだ。さながら火炎放射のようだ。
「くっ!」
噴上のいる足場は狭く、避けようとする神崎は落下してしまう。受け身を取り素早く起き上がると、再び彼に迫る炎の嵐が。
バック転しながら避ける神崎。噴上との距離は一層空いてしまう。
「かははっ!何だ逃げてばかりか!さっきの勢いはどうしたよぉ!」
噴上の哄笑が辺りに響き渡る。神崎は額から垂れる汗も拭わず、ゴーグルの男に禍々しい目を向ける。
そのまま、数秒の膠着が続いた。
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