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「ギャハッ!ギャハハッ!やる、やる、やりやがるじゃねえかよオイぃぃ!」
室内に不気味な笑いが響き渡る。
声の主が読んでいたのは新聞であった。
しかしそれは、外の大手が出版しているものでは無く、この旧都市の有志が自主的に刷り上げているのであった。
この旧都市で起こったトピック、例えば勢力の動向、新チームの結成、解散等が記載されている。
男の見ていた部分の見出しには、
「チームブレイズ、謎の新生チームにより潰される!構成員は何と一人!?」
「たった一人であのブレイズをヤるたぁ、どんな馬鹿なんだろうなぁギャハハハッ!」
「五月蝿い。気が散るから話し掛けるな」
側のベッドから、もう一人の声。どうやら、寝転びながら読書をしているようだ。
「ギャハッ!ああ悪い!申し訳ねぇ!でもよ、これが笑わずにいられるかよぉ!」
そう言うと、男は椅子の上に立ち上がった。意外と背は高いようだ。ただ猫背が激しい。髪は伸ばしっぱなしで少しも整えていない。
「決めた!今決めたぜぇ!次のターゲットはコイツだ!コイツに決定だぁ!」
「ちょっと見せてくれ…」
ベッドの男は新聞に目を通すと、
「おい、いいのか。コイツはお前と同じ……」
「はっ!んなもん全く関係ねぇ!そんなのはどーでもいい問題ってヤツだよ!」
椅子から勢いよく飛び降りると、
「おい永人(ナガト)!準備をしな!直ぐだ!直ぐ出掛けるぜぇ!」
「やれやれ、相変わらず喧嘩っ早い奴だ……」
読んでいた本を起き、永人と呼ばれた男も立ち上がる。彼も背が高い。背筋はピシッと伸び、眼鏡が理知的な雰囲気を醸し出している。
「んじゃま、いっちょ行くとしますかぁ!」
旧都市でも悪名高い二人組が今、動き出す……
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